「ara!kawa」展に行ってきました!

 2021年2月24日~3月22日まで、銀座松屋7Fの「デザインギャラリー1953」で「ara!kawa」展が行われています。
 「あら、かわってる。」「あら、かわいい。」の「ara!kawa」ブランド最初の挑戦は、「荒川企業×デザイナー」。今回の展示は3作品。①石川金網×森田敏昭「KAMIORI」②オフィスサニー×ナカダシロウ「スカストミエルカレンダー」③日興エボナイト×藤原敬介「Expression of ebonite一Chapter1-Museum-」でした。
 「KAMIORI」は縦糸にステンレスの糸、横糸に和紙の糸を織ったテキスタイルで、織り方によっては水玉になったり、透けたり、色も付けれる。手触りは硬く薄くサラサラしており、素材として可能性が無限大。今回はスマホポシェットにして展示してありました。デザイナーの森田敏昭氏は東京造形大学教授。
 「スカストミエルカレンダー」は、印伝のような紙に特殊凹凸印刷技術「バーコ印刷」を使ったカレンダー。透明インクも使って印刷された紙にライトを当てると雨や風や星が浮かびあがる。デザイナーのナカダシロウ氏は昭和女子大学准教授。研究室の学生もお手伝いしているようです。
 「Expression of ebonite一Chapter1-Museum-」は世界の名画の色彩をエボナイト万年筆に再現した作品。色の比率を2次元データから抽出してマーブル模様にしている。例えば北斎の浮世絵「赤富士」「神奈川沖」、ダ・ヴィンチ「モナリザ」、モネ「睡蓮」、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」、ボッティチェッリ「ビーナスの誕生」、名画と万年筆ぜひ比べてみてください。デザイナーは藤原敬介氏で東京都立大学教授。
 荒川区にしては、がんばった展示だなと思いました。会場に残っていれば、展示についての冊子もぜひ読んでみて下さい。作品の紹介はほとんど載ってませんが、3社それぞれの大変印象深い苦労話がインタビュー記事になっています。時代から取り残されそうになりながらも、新しい技術を生み出していく様は、まるで池井戸潤の小説のような爽快感があります。石川金網さんが荒川区の会社見学ツアーで若い社員が入ってきたと喜んでいることや、オフィスサニーさんが子ども発達支援教材ブランド「できるびより」をバーコ印刷で作ってることや、日興エボナイト製造所さんの販売所、笑暮屋さんの万年筆が「書き味はいいし手触りもいい」と三越・伊勢丹のバイヤーさんの目にとまる程だというのも読んで初めて知りました。今後も色々挑戦して「ara!kawa」ブランドを作り上げて欲しいなぁと心から期待しています。