一般質問 2019年

一般質問(2019年6月会議)

明戸まゆみ

 自由民主党の明戸まゆみです。改選後初めての令和最初の一般質問の機会をお与えいただきました同僚議員の皆様に大きく感謝を申し上げます。

さて、31年続いた平成が終わり、年号が新しく令和に替わりました。技術の進歩が加速し、価値観も大きく変わり、新しい時代の到来がひしひしとは予感されますが、しかとは見えてきません。新しい時代はいったいどんな時代になるのでしょうか?今年の2月に亡くなられた作家・評論家の堺屋太一氏によれば、明治の「強い日本」、戦後の「豊かな日本」、それに続くのは「楽しい日本」だということをおっしゃっていたそうです。また、社会学者の見田(みた)(むね)(すけ)氏によれば、すでにその兆しは現れていますが、シンプル化、ナチュラル化、ボーダーレス化、脱商品化といった現象の指し示すものは、「選ばれた者」から「選ぶ者」へ、「価値のある人間」から「価値を決める人間」へ、「上流社会」から無流社会への変化であり、経済でいえば縮小ですが、人間の幸福で言えば経済に依存しない幸福の領域の拡大という方向に向かっているのだそうです。最近の言葉では「リア充」という言葉で表現される感覚で、身近な人たちと歓びを交し合い、自然に身をゆだねることを幸福だとする世界が広がりを見せ始めているということでした。未来予想の一つではありますが、「幸福実感都市」を標榜する荒川区としても、こういった変化に敏感であるべきだろうと思います。

もう1つ心に残ったことがありました。今年2月にサンパール荒川で、『谷根千』で有名な森まゆみさんの講演会がありました。その時最初におっしゃった言葉が「PR」という言葉でした。「PR」というと、「広告・宣伝」と捉えられやすいですが、「パブリック・リレーションズ」の略だということでした。調べてみますと、本来の意味はもっと広く、「望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方」なのだそうです。一方通行の情報の押し付けではなく、双方向のコミュニケーションであり、正しいと信じる部分では相手をとことん説得し、自分の側に非や不備が見つかればためらわずに修正する柔軟性も備えてはいけないということでした。「以心伝心」でも「あうん」でもない新しい時代を作るには、個人が自分の立場や意見を「PR」する能力を身につけることが今後一層重要となっているそうです。区民の代表として、区民の側に立った区議会議員という立場をはっきりとさせて、今回の質問にのぞみたいと思います。

まずはじめに、子どもが健やかに育てられるまちづくりについて質問いたします。

区では現在、令和2年7月の児童相談所設置に向けて準備を進めています。この間、区議会自民党として、万全の体制で開設してほしいと、繰り返し要望してきました。いよいよ開設予定まで1年あまりとなりました。昨年の11月には施設の建設工事に着手した他、東京都との協議も進めていると聞いており、今後ますます準備が本格化すると思われます。

そのような中、今月5日、札幌市で虐待により幼い命が奪われる事件が発生しました。昨年3月の目黒区、今年1月の野田市での事件に続き、またも、という思いであります。報道によると札幌市では、ケースワーカー1人当たりの担当数が100件を超えており、安全確認が十分にできなかった。また、警察との意識共有も上手くいかなかったという事実が明るみに出てきました。

今年2月の予算特別委員会の総括質疑において、我が党の中島議員からも指摘したように、「人手が足りないことを理由に子どもの安全確認を後回しにするようなことはあってはならない」と思います。子どもの安全を確認する上で、どう警察と連携するかなど、課題は多いと思います。荒川区の準備状況はどのようになっているのかお伺いいたします。

 今年の10月から消費税を財源とした「幼児教育無償化」が始まります。保育料が無料になることばかりがクローズアップされていますが、政府の「新しい経済政策パッケージ」の中では新しい時代に対応した「人づくり革命」として位置づけられています。幼児期は、能力開発、身体育成、人格の形成、情操と道徳心の涵養にとって極めて大切な時期であり、幼児教育が認知能力だけではなく、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力の育成においても重要な役割を果たしています。新しい時代に必要な、問題解決能力やコミュニケーション能力を身につけるためにも幼児教育・保育の質の向上も不可欠なのだということが言われております。質の良い幼児教育を受けることが、将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等の効果をもたらすことを示す世界レベルの著名な研究結果もあります。

この根拠となる「子ども・子育て支援法」改正の基本理念として、「子ども・子育て支援の内容及び水準について、全ての子供が健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものであることに加え、子供の保護者の経済的負担の軽減に適切に配慮されたものとする」ことを追加しています。「全ての子供」が対象であるということを忘れてはいけないと思います。荒川区には、幼稚園にも保育園にも通っていない子どもが200名前後いますが、そういった子どもも取りこぼさないで、幼児教育の確保と教育の質の向上を図っていくことが大切だと思います。

4年程前に文教・子育て委員会で、京都の「NPO法人山科(やましな)醍醐(だいご)こどものひろば」の方のお話を聞く機会がありました。学校に行く年齢に達していない歳のこどもたちや学校に行きたくてもいけないこどもたちのための預かり場として事務所を解放している場所ですが、親からのネグレクトを受けてお風呂の入り方もトイレの仕方も教えられない子ども達も時としていて、そういった子たちへのケアについてお話されていました。代表の方が、最後に教育費の中でも3歳~5歳の教育投資が一番生み出すものが多いと言っておられたのを印象深く覚えております。

西川区長が以前からおっしゃっている「未来社会の守護者である子ども」支援するためにも、これまで保育園やおもちゃ図書館等で行っている19ヶ所の子育て交流サロンをはじめ、子どもに関わる各種事業・各種機関が連携強化し、児童相談所と一緒に子ども家庭支援センター機能もある「(仮称)荒川区子ども家庭総合センター」の運営において、幼稚園にも保育園にも通っていない子どもへの幼児教育の確保と教育の質の向上についてご配慮いただけますようお願いたします。

また、幼児教育・保育の無償化については、国は平成26年度から「環境整備」と「財源確保」を図りつつ、段階的に取り組み、平成29年12月に、消費税率引き上げによる財源を活用して、子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるため、幼児教育・保育の無償化を一気に加速することとしたところです。

 このたびの無償化では3歳から5歳の幼稚園、保育園の保育料と0歳から2歳の住民税非課税世帯の保育園等の保育料が無料になるほか、幼稚園の預かり保育や認証保育所等の保育料についても無償化の対象となりましたが、具体的に、私立幼稚園や認証保育所等の保育料はどうなるのでしょうか。国の方針も一部には現状と齟齬が生じていると聞いています。

 特に給食費について、国は、これまでも実費徴収又は保育料の一部として保護者が負担してきたことから、無償化の対象外とすると説明しています。しかし現実には、保護者にとって、保育料の中に給食費が含まれ、保護者も負担してきたと言われましても、その感覚はなく、このたびの無償化で保育料の負担がなくなるものと理解していると思います。私は、基本は、給食費は実費徴収するものと考えていますが、保育料を無償化するという一連の流れの中で、給食費の実費徴収については、他区の動向や議会、区民等の意見も十分に聞いていただき、慎重な議論を踏まえて対応することが必要と考えます。

 そうしたことから、幼児教育・保育の無償化が10月から実施されることを踏まえて、区の基本的な対応方針について、伺います。

 次に、安心して住み続けられる地域づくりについて質問いたします。まずは、8050対策を含むひきこもり対策についてお聞きします。

本年3月、内閣府が国レベルで初の調査を実施し、40~64歳の引きこもり状態の人が61.3万人いるとの推計を発表しました。これまで、引きこもりは若年層の問題と捉えられてきましたが、その長期化に伴い年齢が上昇してきているとのことでした。

そして、そうした50代の引きこもりの子どもを持つ80代の親を示すのが、「8050」問題であり、社会的な問題として、マスコミ等でも多く取り上げられるようになってきました。

そんな中、川崎市での殺傷事件や元農水事務次官による刺殺事件等が発生し、「中高年の引きこもり」が一段とクローズアップされています。内閣府の推計を基に、日本の総人口の約1.26億人(平成31年1月現在)で割り返すと、総人口に占めるその割合は約0.5%となります。これを機械的に荒川区の人口21万人(平成31年1月現在)に当てはめてみますと、約1,050人という数値が推計されます。

これは、あくまでも単純推計なので絶対値とは言えませんが、区内にも、少なからず引きこもりの状態にあるご家族と暮らしている世帯は潜在的にあり、どこにも、あるいはどなたにも相談できず、大変困っている状況がすでにあると思っています。私自身そうしたご相談を受けた経験もあります。

これまでにも荒川区内では「荒川たびだちの会」という団体が、少なくとも平成24年の頃から引きこもりや不登校・発達障害の当事者と家族のためのサロンを開催しており、最近は問い合わせもぽつぽつあるそうです。

引きこもりについては、とてもデリケートな問題ではありますが、秋田県藤里町の例を見ましても、高齢の親のために入るケアマネが関わる地域包括支援センターや、国の調査の36%が原因と挙げている「退職」の後の支援を行うハローワーク、次に21%が原因と挙げている「病気」を診てもらう病院や心療内科等の医療機関、さらには、その他関係する団体等も含め、相互に連携できるネットワークを作り、身近に、そして気軽に、事が大きくなる前に悩みを打ち明けられる環境づくりや、気付いてあげられる仕組みを構築すべきだと思います。

大分県の例では支援団体のアドバイスに従って、50代の息子を「市役所に相談を」とのメモを残して親が家を出るといった荒療治で立ち直った人もいるようですが、家から外に出させるための支援のツボは、「出ていく先を多様に用意」し、単に様子見や状況確認のための家庭訪問ではなく「出ていく先の情報をしっかり伝え」、社会経験が足りないだけの人材なのだから「弱者として捉えない」といったことがあるそうです。

「多様な出て行く先」としては、段階的に、まずは在宅ワークやフリーペーパーのポスティングの仕事を紹介したり、過去に子どもが引きこもりだった事業者の協力を得て仕事を紹介する等の活動を行っている愛知県一宮市の例があったり、秋田の藤里町や大阪の豊中市の例では、生活困窮者支援として引きこもりの人が自分のペースで有償で働ける居場所、例えば食堂や食料提供と相談仲介の拠点であるフード・パントリーといった場所が将来的に用意できると良いのではと思います。

生活困窮者支援の仕事をしている団体も荒川区にはいくつかありますし、昨年から東京都ではフード・パントリーの事業に助成金を出しているようです。

中小企業同友会が引きこもりの人の支援を表明していますが、こういった支援の後に就職にたどり着けるということもあるのだと思います。

荒川区の介護事業者の方々からお伺いしたところによれば、介護離職している方も多く自宅にいらっしゃるということでしたので、年齢に寄らず外との関りを求めているにもかかわらず家にしばられた方々についても視野に入れていただければと思います。

区でも引きこもりの方々の相談窓口として、区役所1Fに「おひとりで悩まずご相談ください」をキャッチフレーズに、ワンストップ相談で関係機関等へつなぐ「仕事・生活サポートデスク」を開設していますが、これまでの取り組みと現状についての確認、そして、今後の展開についてお伺いいたします。

次に、自然に歩きたくなる街づくりについてお伺いします。

 荒川区の人口は21万人、うち65歳以上は5万人強(23.4%)にのぼります。人生も100年時代となれば、まだまだ65歳は働き盛りですが、健康で長生きをするには歩く習慣を少しづつでも良いので始めるのが良いのではないかと思います。ある研究によれば、1日の歩数が2,000歩で寝たきり予防、5,000歩で認知症予防、7,000歩でがんや動脈硬化予防の効果が高まると言われています。

荒川区では保健所で「あらかわウォーキングマップ」を平成21年3月から2年毎に内容を更新しながら発行しており、地域ごとに区内12コースを紹介しています。今回ご勇退された鳥飼秀夫議員のように区役所にいたかと思うと尾久小台へ、隅田川沿いを歩いて町屋、いつのまにか区役所にいるような健脚の方もいらっしゃいますが、楽しくゆっくり歩く方もいらっしゃると思います。途中「せせらぎの小路」や「トレイン・ミュージアム」の場所も掲載されていますが、毎日歩く人にとって、歩いて街に出たいと思えるようなちょっとした「情報」をウォーキングマップに1枚挟むような形で配布するのはいかがでしょうか。

地域には、歩きたくなるような様々な資源があります。荒川区で行っている「健康アップステーション」「介護予防教室」「ふれあい粋・活サロン」「ころばん体操」といったイベントもあれば、薬局が拠点となってポールを貸し出して一緒に歩くウォーキングイベントを開催しているところもあります。介護予防としてヨガ教室やエクササイズのできる場所や日時、銭湯あるいは昼カラオケや休憩できる喫茶店の場所と営業時間、休憩のできるベンチの場所もあっても良いかもしれません。お年寄り向けには、介護用品を売っているお店の場所や地域包括支援センターの場所、血圧計や体組計のある場所や健康部のパンフレット等を置いてある「健康情報提供店」も良いと思います。

こういった場所を拠点として、介護・健康のためになる情報を一括して見やすく示すことができれば、楽しく自然に歩きたくなる動機付けになると思います。健康に関する地域資源を情報提供することにより街を回遊できる「健康の駅」のような仕掛けを作り、介護予防につなげる取組を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。

続けて、年々課題の大きくなっている介護分野についてお尋ねします。先ごろ発表された東京都の試算では、2025年度都内全域で約3万5千人の介護職員が不足すると見込んでいます。また、東京労働局が5月末に発表した都内の介護職員における有効求人倍率は7倍を超えているそうです。このように、介護事業者にとって、介護職員の確保は重要な課題となっています。

介護職員の不足理由は様々ですが、その1つに給与水準の低さが課題として考えられます。その解決に向けて、国は新たな処遇改善加算、特定処遇改善加算を今年10月に開始します。この特定処遇改善加算においては、例えば介護福祉士で10年以上の勤務経験のある方には月額8万円の給与上乗せが行われる等といったことが期待されており、このような新たな処遇改善は、介護職員の確保に向けた1つのきっかけになると思います。

そこで、介護人材の確保や定着を含めて、国の対策に合わせて、区においても介護事業者支援する取り組みを行っていただければ、相乗効果も高まるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

また、「介護職員」というと、給与水準だけでなく、夜勤の大変さや事務の多さなどといったイメージが先行し、サービスの仕事の魅力が十分に伝わっていない可能性もあると考えます。本来、魅力を伝えるようなPR活動は、主に国や都が行う分野かもしれません。しかし、折しも来年度は介護保険制度が開始されてから20年目の年に当たります。このような機会を捉えて、介護業界全体のイメージアップを区としても行い、介護分野に興味・関心を高めてもらうような取り組みが必要と考えます。先日、介護現場の見学にぜひ小中学生を受け入れたいという業者の声も聞きましたので、こういったことも検討できると思います。介護分野に興味・関心を高めてもらうような取り組みについて伺います。

次に、創業支援につながる拠点づくりでの地域活性化について質問いたします。

先日、町屋1丁目に城北信用金庫がインキュベーション施設「COSA ON(コーサオン)」をオープンさせました。1Fにはコミュニティの核となるカフェがあり、2Fはインキュベーションオフィスです。この施設では、起業における悩み事の相談や事業へのアドバイスを専門家から受けられるだけでなく、1Fのカフェでは交流会やイベント等を開催し、テストマーケティングやプレゼンテーションなど、ビジネスや地域の課題解決に向けて活用できる環境づくりにも取り組んでいます。

荒川区では、平成24年度まで西日暮里スタートアップオフィス(NSO)を運営していました。閉鎖後は、事務所等賃料補助や創業相談、創業融資などの施策により、区内での創業を支援してきたと認識しています。しかし、これからは先程の「COSA ON」や荒川区中小企業経営協会が町屋で開催している「あらかわ創業伴奏サロン」等、地域のコミュニティや商店街等と連携して、創業のすそ野を広げ、潜在的な起業希望者を掘り起こすことも重要ではないでしょうか。

今年の3月に表彰式のあった「荒川区新製品・新技術大賞」区長賞を受賞された旭モールディング株式会社の社長さんのお話を聞く機会がありました。「積層成形ブロックL-CUBE」という新製品の開発に対しての受賞でした。数百種類以上と言われているプラスチック材料の配合を量産製品と同じ配合で試作品が作れる切出しブロックの開発は、当初接着がうまくいかず5年以上の年月がかかり、途中であきらめそうになった時に、産業経済部の方々の知恵と励ましで、これまでにないこの画期的な製品がやっとのことで完成したんだとおっしゃっていました。商品開発でもそうなのですから、起業をする人にとっては自分の起業に伴奏してくれる常設の場所があることは、一層力強いのではないかと思います。

区もこうした地域とのコミュニケーションの輪を広げ、連携することで、創業支援や地域産業の活性化につながる拠点づくりを進める必要があると考えますが、今後の創業振興施策の方向性をお伺いいたします。

次に、オリンピック・パラリンピックを契機とした地域の活性化と機運醸成についてお伺いします。

いよいよ1年後には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を迎えます。現在、大会で使用する会場整備が進んでおり、各競技においても本番に向けてテストイベントが実施されるなど、国中が大会に向けて盛り上がってきているところだと感じます。   

荒川区においても、来年7月20日には聖火リレーが走ることや、パラリンピック競技であるシッティングバレーの公式練習会場に、荒川総合スポーツセンターが選ばれているなど、関連する事業が予定されています。更に区民が集まって競技を観戦し、一緒に応援するパブリックビューイングなども実施してもらえれば一層盛り上がるものとなると思います。

また、大会で得られる感動を未来につなげていくためにも、多くの区民、特に子ども達を含めて大会に参画できるように取り組んでほしいと考えます。

本区はシッティングバレーの公式練習会場となっていることから、練習に訪れる各国の代表選手と区民の交流も図ることができればとも考えます。区民もパラリンピック競技への関心や理解が高まり、記憶に残るものになると思います。

スポーツだけに限らず、NN36直通で東京の玄関口となる日暮里などで、観光や文化など様々な面でおもてなしをする環境整備も必要と考えます。その際は、ボランティアを含めて区民も協働で取り組むべきだと思います。このように、今から来年の東京2020大会の本番まで、荒川区全体で盛り上がり、区民の記憶に残る取り組みを実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

次に、DMO機能によるインバウンド対応についてお聞きします。

DMOとは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人(Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略)で、昨年10月に財政援助団体調査特別委員会で視察した一般社団法人田辺市熊野ツーリズムビューローでは、熊野エリアの海外プロモーションや案内所、宿泊施設の紹介を始め、着地型観光でインバウンドの取り込みに成功しています。従来の観光協会の発展系であり、区で導入する場合は、短期的な視点というよりは、中長期的な視点で取り組んでいくべきものであろうと思います。

DMOの取組の軸となる、地域資源を有機的に結び付けていく取組は、地場観光の種が至るところにある荒川区においてもすぐにでも取り組むことができると思います。繊維街にも外国人の姿を多く見かけるようになり、オリンピック・パラリンピックを機に、インバウンドがますます増加していくことが想定されていることから、DMO機能を整備することで、積極的に取り組んでいくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

最後に、区民参加型の空地・空き家を活用した街づくりについて質問いたします。

区役所にほど近く、荒川4丁目の不燃化促進用地を活用した「ご近所ファーミング」と名付けられた畑が今年の春できました。最近もこの近くを自転車で通りましたが、ジャガイモ、ニンジンなどぐんぐんと成長して緑の葉を茂らせています。こういった取り組みは、「防災街づくり」「空地(遊休地)の活用」「環境配慮」「区民参画」「都市型農業」等、様々な観点から有効な取組だと思います。

防災街づくりの観点から、老朽建築物の除却を促進し、その後、一定期間は、空地となる空間を有効活用しない手はありません。

土地の賃料や日々の適切な管理をする担い手をどうするか課題は多いと思いますが、ご近所で手を携えて取り組んでいけば解決できるのではないでしょうか。最近は多くなった区内の空き地にこうした取組を更に拡充していくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

次に、空き家の利活用についてお伺いいたします。

全国的に空き家問題が深刻化しています。荒川区においては、空き家問題の解決に向け、実態調査を実施し、空き家の状況を把握した上で、「空き家等対策の推進に関する条例」を制定し、危険な老朽空き家の除却に積極的に取り組んでいることは高く評価しています。

空き家対策をさらに前進させるためには、老朽化した空き家の除却を進めることと併せ、利活用を促進することが重要だと考えます。空き家は放置すると、老朽化の進行が早まると言われています。老朽化の進行を抑えることに加え、空き家を街なかの有効な資源として捉えて利活用することで、地域の活性化など様々な効用が得られるものと考えます。こういった手法はリノベーションと呼ばれており、リノベーションまちづくりは、遊休不動産をリノベーションの手法を用いて再生することで、産業振興、雇用創出、コミュニティ再生、エリア価値の向上などを図るものです。

リノベーションまちづくりの推進ではトップを走っていると思われる北九州市の例をご紹介いたします。平成22年度に「小倉家守構想」を策定し、平成23年度から小倉魚町地区を中心にこのリノベーションまちづくりを進めているそうです。縮退する社会の中でまちに賑わいを取り戻すため、現代版の家守の手法を用いて遊休不動産を再生し、都市型産業の集積を行う、新しいまちづくりの手法で、取組みにあたっては、行政と民間が連携し、それぞれの役割を分担します。「家守」とは、江戸時代における長屋の大家の呼称だそうで、現代版家守は、行政・地域住民等と連携し、空き家等をスモールオフィスなどに転用し、その地域に起業家や個人事業者を入れ、地域を支える新しい産業や賑わいを興そうと試みる人のことになります。

役割分担として、行政は建築物の用途変更、消防法の適用確認などの行政手続きの相談窓口を一本化して開設するとともに、広報PRや不動産オーナーへの啓発などに取り組みます。民間事業者は、建物のリノベーションを通じて仕事を生み出し、エリアに新しいコンテンツを集めます。リノベーション事業は、リスクを抑えた小さな投資を積み重ね、エリアの価値向上につながる、おおむね5年以内で初期投資を回収する事業計画書をまず組み立てます。そして、担い手としてDIYやまちづくりに興味がある市民の参加する、リノベーション・スクールを通じて、チームで実際の空き家を題材とした様々な提案を出し合い、専門家も入れて最終的にブラッシュアップされた計画を事業化していくそうです。パンフレットには飲食店やシェアオフィス、一時託児とママたちの憩いの場、総菜販売もするデイサービス等々多彩な25の実践がありました。地方は人口減少がより深刻であるがゆえに地域の活性化が急がれていますが、これらの実践から学ぶところも多いと思います。

荒川区内にもリノベーションでステキな建物に生まれ変わり、カフェになっているところがあります。先程の町屋の「COSA ON」も倉庫でしたし、熊野前商店街の「こひきや」さんも八百屋さんだった建物を改装したものです。西尾久の「アッシュ・カフェ」も町工場(こうば)だった建物でした。区役所の近所の住宅もリノベーションでDIYのお手伝いを募集していたので、私も壁にパテを塗りに行ったりしたことがあります。荒川区内にも興味を持つ人は沢山おり、こういった区内の先行事例の情報を収集し、「PR」していくこともできると思います。

先日、建築業界の団体からも建物の除却するのは良いが、その後のメニューを示しながらでないと不安になる土地所有者もいるとの指摘がありました。今後は、危険な老朽空き家の除却と併せ、空き地や空き家の利活用の面からも、環境部や産業経済部の協力を得ながら、積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上、1回目の質問を終わります。理事者のみなさまには積極的なご答弁をお願いいたします。ありがとうございます。